最近読んだ本から①「KくんとHくんの友情物語」

こんにちは、栄光義塾です。最近、少し時間が出来たもので読書をしていました。今回は、感動したお話をすることにします。

私は、高校・浪人のとき理系にいましたが、最も得意で好きな科目は日本史と漢文でした。というのもその2教科を学習しているといろいろなユニークな人物が出てきます。彼らに会えるのが楽しかったです。彼らから良い刺激をもらったこともありました。今回は、古代中国史に出てきた清々しい話、「KくんとHくんの話」をします。

紀元前7世紀、はるか昔の中国のこと。斉という国のKくんとHくんは若いときからよく一緒に行動していました。Kくんは何度もHくんに迷惑をかけることがありましたが、HくんはKくんのことを決して非難しようとはしませんでした。後に内乱が起きたとき、Hくんの仕えた主人は勝利して君主(王様)になりましたが、Kくんの主人は殺され、Kくん自身も捕らえられてられてしまいました。しかし、HくんはKくんの才能を惜しんで自分の主人に強く推薦した結果、Kくんは命を救われただけではなく宰相(総理大臣)となり、斉の国を繁栄に導きました。この推薦した時のHくんの言葉もよかったんです。HくんはKくんに言います。「Kくん、久しぶりだ!自分の主人は才能のあるKくんを殺すほど愚か者ではないぞ!」。自分が助けてやったぞと恩着せがましいことは何一つ言わなかったんですね。そしてHくんは常にKくんよりも下の地位についてKくんをサポートしました。後に、KくんはHくんとの友情について、次のように語っています。「わたしは、昔、貧乏だったころ、Hくんと組んで商売したことがある。利益を分ける段になって、私のほうが余計にとったが、彼は私を欲張り呼ばわりしなかった。私が貧乏なのを知っていたからだ。また、彼に名をなさしめようとして計画したことが、かえって彼を窮地に陥れる結果になったが、彼は私を愚か者呼ばわりしなかった。物事には、うまくいく場合とそうでない場合があることがわかっていたからだ。また、私は何度か就職して、そのたびに首になったが、彼は私を無能呼ばわりしなかった。私がそのときの時代の流れに合わなかったことを察していたからだ。またともに戦争にいき私は逃げ帰ってきたが、彼は私を臆病呼ばわりしなかった。私には年老いた母がいるのを知っていたからだ。私を生んでくれたのは父母だが、私を理解してくれたのHくんだ」

 

みなさん、もうおわかりですね。Kくんは「管仲(かんちゅう)」のこと、Hくんは「鮑叔牙(ほうしゅくが)」のこと、この話は「管鮑の交わり」という「史記」にある有名な友情のお話です。

でも、この話は何度読んでも良い話ですね。つい感動してしまいます。この「ホントに大切なものは目に見えない」ことはサンテクジュペリの「星の王子さま」にも出てきますね。こういった自分をホントに理解し評価してくれる人たちがいてくれたら毎日が楽しくなります。

このことは、教育の面でもつながります。こちらもこの教育の世界に入って早20数年が経ちますが、毎日毎日、時には困ってしまうことがあります。ある生徒さんがいて、とてもやる気がありお話をしてもしっかりしているが、テストの点数は低過ぎる。このままでは将来厳しい道が待っているかもしれない。そのときに「どのように説明すればこのわからなかったことを理解してくれるんだろうか?」「どのように練習すればその理解から問題が解けるようになるんだろうか?」「解く問題をどのように選択すればテストで本人が満足すべき点数がとれるんだろうか?」を本人とよくお話をすることで、その生徒さんの本来の問題点がその表面的なことだけでなくそのバックにあるかもしれないと分析し、こちらで対応出来ることは対応していきたいと常日頃から暗中模索しています。

人間相手のお仕事はなかなか奥が深いです。大変ですが、やりがいはあります!